個人事業の準備に必要なものは、〇〇とほぼ同じ?
どうも、わしじゃよ。
個人事業を始めるにはなにかと準備が必要じゃ。
この必要な「準備」というのは、実際は準備だけでなく事業をやっている限り常に必要なものとほぼ同じなんじゃよ。
つまり、「ヒト・モノ・カネ」じゃ。
どうじゃ? 最初から最後まで必要じゃろう?
今回はその3つに個人事業の起業に必要な「その他」を加えた4点について話をしてみようかの。
「ヒト」
ビジネスの三大要素としてまず挙がるのが「ヒト」、つまり「人脈」じゃ。
何も有名人とのコネが要るとかそういう話ではない。
起業時に必要な「人脈」とはつまり、「取引先」と「見込み客」のことじゃ。
「取引先」は物品を扱う仕事なら商品や機材の入手先、サービス業なら仲介人などじゃな。
「モノ」につながる大事なラインじゃ。良い「取引先」があればあるだけ、提供できる商品やサービスの価格に対する質を上げることにつながるからの。
「見込み客」は言うまでもない。お前さんの商材を買ってくれるであろう人たちじゃ。初期の売り上げの見込みを立てる目安となるじゃろう。
起業前に「人脈」を作るのは一見難しい。何しろまだ始めてもいないものを人に勧める形になるのじゃからな。
じゃが、会社員をしておるなら日々、少なからぬ他人と関わっておるはずじゃ。同僚、上司、顧客、友人、知人、親戚……。無論彼らを直接の「見込み客」にできるとは限らん。限らんが、その周辺におるかもしれん。
大事なのはマーケティングじゃ。自分が始めようと思っておる事業の主なターゲットはどんな人物か……年齢層、性別、職業、性格、趣味、余暇の過ごし方……そういった傾向(「ペルソナ」と呼ぶ)をきちんと設定し、それに近い人、近くにそういう人が居そうな人はお前さんの周りにもいるのではないかな? 常にアンテナを張っておくことじゃ。
「モノ」
二番目は「モノ」じゃ。
事務所や店舗などの箱モノから、取引する商品、レジやパソコン、車などの機材、事務用品などの消耗品まですべてを含む言葉じゃな。
これは稼働しておる同業者はもちろん、地元の商工会議所などで開催される起業セミナーの類にも顔を出し、可能な限り多角的に情報を集めるべきじゃな。
商品はともかく、機材や店舗はなにも買取ばかりが手段ではない。レンタルやリースも賢く使って初期投資額をしっかり押さえる工夫も必要じゃ。
在職中の身で実際に足を使って情報を稼ぐのは限界がある。じゃが、ネットの情報は要注意じゃ。これはあくまで単体の価格チェックなど、最終確認にとどめるべきじゃろう。不正確じゃから、ではない。量が多すぎるからじゃ。この手の数字は平均や偏差を取って参考にすることがとても難しく、むなしい。必ずしもお前さんにふさわしい数字が導けるとは限らんからじゃ。
「カネ」
三番目の「カネ」は言わずもがなじゃな。むしろ最終的にはこれに収束するといってもいいじゃろう。
起業前の「カネ」と言えば、「モノ」の準備費と、事業が軌道に乗るまでの回転資金および生活資金じゃ。
具体的には別項で触れておるので、そちらを参照してもらいたいのじゃが、わしは「起業準備費+2~3か月分の生活費」を目安にためることをお勧めしておる。
多ければ多いほど良いのは当然じゃが、不思議なもので貯めれば貯めるほど、「もう少しあった方がいいかな」という不安が大きくなって、いつまでたっても開業に踏み切れなくなる傾向があるんじゃよ。
「あまり大きい金額を設定すると、その時点で心が折れてしまう」という可能性もあるしの。
「カネ」の調達方法で独立開業時独自のものがある。それは「退職金」と「雇用保険(基本手当)」じゃ。
「退職金」はお前さんの勤め先と勤務状況次第じゃが、あればかなり心強いじゃろう。まとまった金が手に入るが、目的はあくまで起業であり、そのための大切な資金じゃ。自分を見失ったりせんようにな……。
「雇用保険」もまたお前さんの勤務状況次第じゃが、必要な手続きを取れば受給することができる。
ただし、受給期間中でも事業が始まり、1円でも収益が上がればその時点でお前さんは「求職中」から「再就職者」になるため、給付は止まる。
その代わり、「再就職手当」が出る可能性はある。これは基本手当の受給期間中に再就職が決まった場合、残りの給付金の一部をまとめて受け取れる制度じゃ。
じゃから、「事業は始めたけどまだ基本手当の方が多いから、もらえるだけもらっておこう」という考えはやめることじゃ。これは雇用保険の不正受給にあたり、つまり「犯罪」じゃからな。さかのぼってすべての受給分を没収され、悪くすれば追徴もありうるでな。
「その他」
最後は本当に起業時にしか必要のないものじゃ。
「個人事業の開業・廃業等届出書」じゃ。もちろん開業の手続きにいるものじゃな。
これを提出した時点で「求職者」ではなくなるので、上記の「雇用保険(基本給付)」を受ける場合は頭の隅に置いておく必要があるかもしれん。
とはいえ、「出さなきゃバレない」などと思わぬように。必ずバレるし、たかが数万円のためにお前さんの与信情報に傷をつけるのは、賢い起業家のやることではないぞ。
この届出には期限がある。「事業の開始から1ヶ月以内」じゃ。
開店休業状態で全く売り上げがたたなかった場合(悲しいがありえないことではない)は「事業の開始の事実」に該当せんかもしれんが、そもそも収益が上がっていなければ税金もかからん。
申告漏れで追徴されてもばかばかしいじゃろ? 早々に届け出て、憂いなく事業に注力した方が良かろうな。忙しくないうちに終わらせておくものじゃ。
ちなみにオンラインでの提出はできん(窓口または郵送)が、手数料は無料じゃ。
国税庁:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
あとは、税金の話が出たので「青色申告承認申請書」も出しておくべきじゃな。
出さなかった場合(「白色申告」)と比べてメリットが多く、デメリットはほぼないからの。
具体的な内容は長くなるのでまた別の機会に話せたらと思うておる。
ちなみにこちらも期限があって、「事業の開始から2カ月以内」じゃ。
国税庁:No.2070 青色申告制度
まとめ
具体的な例や数字は事業の内容次第なので挙げることはできん。
じゃが、この情報を求めていたということは、事業開始後のビジョンはある程度見えておるじゃろう。そこからさかのぼって上記3つ(+届出)をリストアップするのは、そう難しいことではないはずじゃ。
起業すること自体は目的ではない。事業を軌道に乗せて、理想の将来を手に入れるためのスタートラインに立つそのための起業じゃ。慎重に、じゃが必要以上に憶病にならずに踏み出してほしい。
その手助けになれたなら、わしも本望じゃよ。
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