ワイドショーで取り上げられて一躍有名になった「起業女子」。
メディアでは揶揄される形になりがちな彼女らですが、敢えて少し冷静に分析してみましょう。ほら、なにか得るものが見えてきたようですよ……!
メディアでは揶揄される形になりがちな彼女らですが、敢えて少し冷静に分析してみましょう。ほら、なにか得るものが見えてきたようですよ……!
「起業女子」って知ってる?
どうも、わしじゃよ。「起業女子」、という言葉がある。
「起業」と今の風潮である「〇〇男子」「〇〇女子」をかけた言葉じゃな。
わしも仕事柄、「独立・起業」に関する、あるいは関わりのありそうな情報にはそれなりにアンテナを立ててきたつもりじゃが、実は最近までこの単語を知らなんだ。
知ったとき、不思議に思って改めて「起業女子」について調べてみた。結果、わかったんじゃ。「これはわしの手伝いたい『起業』ではない」と。
ちょっと注意書き(というか予防線)
では今回は気楽なコラムなのか、というと、せっかく付き合ってくれるお前さんに申し訳ないので、「起業女子」の何が問題なのか、男性は似たような失敗に陥らないのか、という話をしてみようかと思う。
あらかじめ言っておくが、わしは性差はあると思っておる。
どちらが優れておるとか劣っておるとかではなく、純粋に違う遺伝情報を持っておるのじゃから、違いがあって当然じゃと思っておるだけじゃ。男性は女性ほど苦労しなくても高い筋力を得られるし、女性は男性より感情を表に出したり他者とコミュニケーションを取るのが誰に教わることなくとも不思議と上手い、などじゃな。そういうニュアンス込みで「男性」「女性」という言葉を使うが、特に差別的な意図はないと思っておくれ。
ただ、「〇〇男子/女子」と言う場合は、やや対象を揶揄するニュアンスを含む場合がある。特に今回はそれが強めに出ておると思うので、すまんがあまり気にしないようにしてほしい。
「起業」を「習う」
「起業女子」の特徴を一言で表せば、「習い事」じゃな。
成功率の話ではない。「独立・起業」は簡単に成功するものではなく、統計でも9割は失敗に終わると出ておるから、「起業女子」の成功率が同程度に低いのは不思議でもなんでもないからの。
そもそも「〇〇女子/男子」というのは「〇〇をする(または好む)女子/男子」という意味合いで作られ、使われる言葉じゃな。じゃが、「起業」はそれ自体が目的ではない。お前さんがそうであるように、「起業」した結果、自分の仕事で自活できるようになることが目的じゃ。「起業」した人が「女性」であることを強調したい場合、一般的には「女性起業家」というじゃろう? 「起業女子」という言葉に違和感を覚えたとするなら、たぶんそこが気になったのではないかの。
「起業女子」のやっていることと言えば、ブログやSNSで華やかそうな自分を発信しておるだけじゃ。料理や花、スポーツなどを習うのと同じで、自分の人生を(経済的にではなく、精神的に)豊かにするための習い事がたまたま、「ネットを使った自己PR方法」じゃった、というだけじゃな。
「起業女子」を自称する人たちのブログを見ればわかる。研究された大量の自撮り画像と、素敵な店の華やかなお茶会や料理、セミナーへ行った報告ばかりじゃ。「美しく」「キラキラ」「プラチナ」などの華やかなフレーズが飛び交う、高級感のある色遣いのブログが多い。「導いてくれた」メンター(師匠の意じゃが、要はセミナー主催者じゃな)の紹介に紙幅を取っていることが多い。じゃが、肝心の事業内容があいまいか、または全く見えてこん。
以前「セルフブランディング」について話をしたことがあった。これも似たようなものではあるが、これはどちらかというともっと単純な、いわゆる「キャラ付け」じゃな。「私はこういう人(だと思われたい人)ですよ」、と言うだけで、そこから何にも(特に仕事に)つながらないからじゃ。
わしは常から「ビジネスは最終的には人対人。知らない人、気に入らない人とは誰も大事な取引はしない」と言っては交流や情報発信の大切さを説いておる。その目的は他者の視線を自分の「事業」に向けてもらうためじゃ。
じゃが、「起業女子」のそれは「自分」を見てもらうためのものにしか思えん。
気を付けて読むまでもなく、そこここに書いてあるじゃろう。「私らしく」「自分を表現する」「楽しみながら」……自分の視線すら「自分」にしか向いておらん。その手法が求められておるのは表現者、つまり一部の芸能を売り物とするときだけじゃ。
ネイルアートやコンサルなど、センスを活かした仕事だから、と言うのはわからない言い訳ではない。じゃが、それならばそのセンスの集大成である「仕事の結果」を発信するのが筋と言うものじゃろう? 「事業」ではなく「自分(自己実現、と言い換えても良いかもしれん)」が最優先というのは、すでに「仕事」ではなかろう。
男性だから関係ない、わけではない
サテ、最初にも言ったとおり、これは別に女性に限った話ではない。実は「起業」に限った話でも、特に新しい問題でさえも、ないんじゃ。ここまでで出てきたキーワードから察したかもしれんが、
いわゆる「自己啓発セミナー」じゃな。
気づかんかったかの? 改めてそういう視点でここまでを読み直してみるといい。「かなえたい理想の自分探し」「自分を知ってほしい」「自己実現」……「起業女子」は「自己啓発セミナー」の会員じゃ、と言えるのではないかの。SNSやブログなど、昔より情報(この場合は「自分」)を発信しやすい環境が整っておるので、それを「小道具」として使っておるだけじゃな。セミナー主催者に搾取されるだけの構図は全く同じじゃ。
自己啓発が悪いわけではない。じゃが、それはあくまで自己の中で完結すべきじゃ。「自己啓発の師匠」などと言う不思議なものを持つのではなく、「理想の事業家(起業ではなく事業を成功させた人)像」を持つ方が役に立つとわしは思うぞ。「起業女子」の「メンター」はその「理想の事業家像」の皮をかぶっておるから、ことが若干厄介じゃがの。
まとめ ~「起業女子/男子」にならないために~
珍しく結論が最後に来てしまったが、わしやお前さんが「起業女子」から学ぶべき教訓は、自分の「辛い」「苦しい」「幸せになりたい」は、セミナーに行って治るようなものじゃない。
と言う認識を持つことじゃろうか。行くならカウンセラーか心療内科じゃな。
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